美容室の内装業者は、「安さ」ではなく「美容室という業種をどれだけ知っているか」で選んだ方が安心です。給排水の容量、電気容量、シャンプーブースの配置、保健所の検査基準。これらは一般の住宅や店舗の工事では出てこない論点です。ここを押さえている業者かどうかで、工事中の追加費用や、開業後の働きやすさが変わってきます。
この記事では、東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の設計施工を手がけてきた有限会社キックが、内装業者の種類・7つの判断基準・見積もりの比べ方・許可の確認方法までを解説します。
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結論:美容室の内装は「美容室のことを知っている設計者」に頼む
美容室の内装業者選びで最も重要なのは、美容室の施工実績があり、設計と施工管理を一貫して担える会社かどうかです。 内装の出来は、開業後の毎日の営業効率とサービスの質に直結します。そして一度つくった内装は簡単にはやり直せません。
美容室の内装には、業種特有の制約が集中しています。シャンプー台の給排水、パーマやカラー剤に対応する換気、ドライヤーを複数同時に使う電気容量、そして美容師法と各自治体の条例にもとづく保健所の検査基準。これらを設計の初期から織り込める会社かどうかで、総額も工期も変わります。
美容室の内装を頼める業者には、どんな種類がある?
大きく4つに分かれます。それぞれ得意分野と守備範囲が違います。
| 種類 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 設計事務所(店舗特化) | 設計・工事監理が本業。建築士事務所登録を持つ。業種特有の設計に強い | 新規開業、業種特化のノウハウが要る工事 |
| 内装工事会社 | 施工が本業。自社で職人を抱える会社も多い | 図面が確定しており、施工だけを頼みたい場合 |
| 工務店・リフォーム会社 | 住宅工事が中心。地域密着で小回りが利く | 小規模な原状回復、部分的な改修 |
| デザイン会社+施工会社を分離 | デザインの自由度は高い | デザインを最優先し、発注管理を自分でできる場合 |

美容室の内装を頼める4つの選択肢
美容業界に特化した会社は、この中では少数です。「店舗内装」を扱う会社は多くても、「美容室を何件つくってきたか」で絞ると候補は一気に減ります。
内装業者を選ぶときの7つの判断基準
価格は7つのうちの1つでしかありません。
- 美容室の施工実績があるか — 件数と、直近の事例を見せてもらう。坪数や席数が自分の計画に近い事例があるほど参考になります。
- 設計と施工管理を一貫して担えるか — 分離発注は責任の所在が曖昧になりがちです。不具合が出たとき「設計の問題か施工の問題か」で止まります。
- 建築士事務所の登録があるか — 報酬を得て設計・工事監理を業として行うには、建築士法にもとづく都道府県知事への登録が必要です。
- 建設業許可があるか — 工事の規模によっては必須です(詳しくは後述)。
- 物件の現地調査を契約前にしてくれるか — 「物件を決めてから来ます」という会社は避けたほうが無難です。
- 保健所や諸官庁の手続きに対応できるか — 検査に通らなければ開業できません。事前協議の経験があるかを確認します。
- 開業後も連絡が取れるか — 不具合対応、メンテナンス、将来の改装。内装は引き渡しで終わりません。

内装業者を選ぶ7つの判断基準
キックでは、設計から施工管理までを自社で担い、施工は協力会社と組んで進めます。保健所への事前協議・図面の修正・必要書類の受け取りも当社で代行しています。
見積もりはどこを見て比べればいい?
総額ではなく「どの工事が含まれているか」で比べてください。 総額が安い見積もりは、含まれている工事が少ないだけ、という場合が少なくありません。
比較するときの確認項目は次の通りです。
- 仮設・解体工事の範囲(居抜きの場合、どこまで撤去するか)
- 設備工事(給排水・電気・空調・換気)が本体に含まれているか
- 電気容量の増設、給排水の引き込みが「別途」になっていないか
- 内装仕上げの範囲(造作家具、塗装はどこまでか)
- 看板・ファサードが含まれているか
- 設計料・工事監理費の扱い
- 美容機材や既製品の家具が含まれるか(多くの場合は別途です)
美容室の内装は、坪単価だけで判断しにくい費用です。坪単価は物件の条件(スケルトンか居抜きか、給排水の状況、ビルの設備)で大きく動きます。当社の場合、内装工事の目安は坪単価60万円(税別)〜ですが、これも現地調査をしなければ確定しません。
支払い条件も確認しておきましょう。当社は契約時50%・完成引渡時50%です。着工前に全額を求められる契約は、一般的ではありません。
「安い業者」を選ぶと何が起きる?
安さの理由が「工事の抜け」か「業種を知らないこと」にある場合、開業後にコストが戻ってきます。
現場でよくあるのは次のようなケースです。
- 契約後に「給排水工事は別途です」と追加請求が出る
- 電気容量が足りず、開業後にドライヤーを同時に使えない
- 換気と吸気のバランスが悪く、薬剤のにおいが店内にこもる
- シャンプーブースの配置が悪く、スタッフの移動距離が毎日積み上がる
- 保健所の検査で指摘が入り、手直し工事とオープン延期が発生する
当社ではこうした設計と工事監理に人手をかけて取り組んでいます。逆に、図面が既に確定していて施工だけを頼みたい場合は、施工専門の会社のほうが合理的なこともあります。
なお「知人に頼んだほうが安く済む」という考え方は、美容室の場合おすすめしにくいです。業種特有の設備要件を押さえずに進むと、後からやり直しが必要になることがあります。金額の話し合いがしにくいのも実務上の難点です。
資格や許可はどうやって確認する?
どちらも公的な制度なので、依頼する前に自分で調べられます。
建設業許可 建築一式工事以外の工事では、請負代金が税込500万円以上になる場合に建設業許可が必要です(税込・材料費込みで判定します)。美容室の内装工事は「内装仕上工事業」などにあたります。500万円を超える工事を無許可の業者に頼むことはできません。
許可の有無は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で誰でも無料で確認できます。商号や許可番号から、許可業種・有効期限まで調べられます。
建築士事務所登録 他人の求めに応じ報酬を得て、設計や工事監理を業として行うには、建築士法第23条にもとづき都道府県知事への登録が必要です。無登録での設計業務は禁止されています。名刺やホームページに登録番号が記載されているかを見てください。
キックは一級建築士事務所(愛知県知事登録(い-7)第14546号)として登録し、建設業許可(愛知県知事許可(般-2)第38328号/建築工事業・内装仕上工事業)を受けています。
業者に相談するのは、いつがいい?
物件を契約する前です。 これが最も伝えたいことです。
契約してからでは引き返せません。給排水の容量が足りない、電気の増設に想定外の費用がかかる、排気経路が取れない。こうした条件は、契約後に判明しても打つ手がほとんどありません。
当社への相談で最も多いのも「開業を考えているが、何から手をつけてよいかわからない」という段階のご相談です。物件が決まっていなくても構いません。むしろその段階からのほうが、選べる手が多く残っています。内覧への同行も承っています。
融資の準備も同じです。日本政策金融公庫や銀行への融資申し込みには、平面図と工事見積もりが必要になります。この資料の準備は当社でサポートしています。
よくある質問
Q. 物件が決まっていなくても相談できますか?
A. できます。むしろ物件契約の前にご相談いただくのが理想です。内覧への同行や、物件が美容室に向いているかの判断もお手伝いします。ただし当社は物件情報を保有しているわけではないため、物件探しそのものは不動産会社と並行して進めていただく形になります。
Q. 相見積もりを取っても大丈夫ですか?
A. 比較検討していただくのは当然のことだと考えています。ただし、価格だけで決めたいというご依頼はお断りする場合があります。設計と工事監理に手間をかける前提の会社ですので、その価値を評価いただけない場合はご期待に沿えません。
Q. デザインだけ、施工だけの依頼はできますか?
A. 案件の状況によりますので、まずはご相談ください。設計から施工管理まで一貫してお任せいただくことで、コスト・工期・品質の管理を最適化できるのが当社の強みです。
Q. 打ち合わせは何回くらいありますか?
A. 6〜10回程度が目安です。対面での打ち合わせを中心に、状況に応じてオンラインでも対応します。
Q. 東海エリア以外でも対応できますか?
A. 愛知・岐阜・三重・静岡を中心に対応していますが、全国での施工実績もあります。まずはご相談ください。
まとめ:内装業者選びは「開業後の毎日」を左右する
美容室の内装業者は、価格ではなく「美容室のことを知っているか」「設計と施工管理を一貫して担えるか」で選んだ方が安心です。判断に迷ったら、建設業許可と建築士事務所登録を確認し、美容室の施工実績を見せてもらうところから始めてみてください。
そして相談は、物件を契約する前に。このタイミングだけで、選べる手の幅がぐんと変わります。
有限会社キックでは、コンセプトのヒアリングから物件の現地調査、資金計画のサポート、設計・施工、開業後のメンテナンスまでワンストップで対応しています。美容室の新規開業・改装をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修・運営
有限会社キック(美容室・サロン専門の設計事務所)
- 一級建築士事務所:愛知県知事登録(い-7)第14546号
- 建設業許可:愛知県知事許可(般-2)第38328号(建築工事業・内装仕上工事業)
1995年(平成7年)設立。東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の店舗デザイン・設計施工を手がける、美容業界特化の設計事務所。開業支援・繁盛支援から物件のご紹介までワンストップで対応。
監修:有限会社キック 代表取締役 小野田 聡
会社情報
- 会社名:有限会社キック
- 所在地:〒457-0011 愛知県名古屋市南区呼続元町10-65 YMプレイス2F
- 電話:052-825-0869(受付 平日9:00〜18:00)
- 対応エリア:愛知・岐阜・三重・静岡を中心に対応(全国での施工実績あり。その他エリアはご相談ください)
- 公式サイト:https://design-kick.com/
- Instagram:@kick_salondesign
参考・出典
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(建設業者検索)」 https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/kensetuKensaku.do
- 愛知県「建設業許可業者名簿」 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi-somu/0000047962.html
- 公益社団法人 日本建築士事務所協会連合会「建築士法(抜粋)」 https://www.shijikyo.or.jp/registration-relationship/law/
- 国土交通省「建設産業・不動産業」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000020.html