美容室の内装は、「デザイン」「費用」「業者選び」「物件」の4つを別々に考えると、あとからの調整が難しくなります。デザインを決めてから予算と合わないことに気づく。見積もりの安い業者に頼んだら設備工事が別途だった。物件を契約してから給排水の容量が足りないと分かる。いずれも、考える順番を変えるだけで避けられることです。
この記事では、東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の設計施工を手がけてきた有限会社キックが、美容室の内装を考えるうえでの全体像を整理します。各テーマの詳細は個別記事にまとめていますので、必要なところから読み進めてください。

美容室の内装を考える4つの論点
結論:内装は「物件 → 費用 → 設計 → 業者」の順で考えない
正しい順番は逆です。業者(設計者)に相談してから、物件を決めてください。
多くの方は「物件を見つける → 内装業者を探す → 見積もりを取る」という順番で進めます。しかしこの順番だと、物件の設備条件が希望と合わなかったときに打てる手が限られます。家賃も敷金も払った後で、シャンプー台の給排水が確保しにくいと分かる。ここがいちばん影響の大きいところです。
美容室の内装には、業種特有の制約が集中しています。給排水の容量、電気容量、換気の経路、天井高。そして美容師法にもとづく保健所の検査基準。これらは物件の条件で決まる部分が大きく、内装工事だけでは覆せません。
美容室の内装費用はいくらかかる?
目安は坪単価60万円(税別)〜ですが、物件の条件で大きく動きます。 当社の場合、新規開業(スケルトン)で総額1,000万円前後、居抜きの改装で200〜600万円程度が一つの目安です。
内装工事費は、仮設・解体工事/設備工事/内装仕上げ工事/サイン・外装工事/設計・監理費に分かれます。このうち美容室で比重が大きいのが設備工事です。給排水・電気・空調・換気は、一般的な物販店やオフィスより要求水準が高くなります。
見積もりを比べるときは、総額ではなく「どの工事が含まれているか」を見てください。電気容量の増設や給排水の引き込みが「別途」になっていると、後から数十万円単位で膨らむことがあります。
▶詳しくはこちら:「美容室の内装工事費用と坪単価の考え方」
良い内装とは、どういう内装か?
「良い内装」とは、お客様に選ばれるデザインと、スタッフが毎日働きやすい動線が両立しているものです。 この2つが揃って初めて、内装は毎日の営業を支えます。
そのうえで、美容所として届出が通る構造設備であることが前提になります。保健所の基準は、満たしていなければ開業できないという意味で重要ですが、デザインや動線と並べて語るものではなく、設計の初期に織り込んでおく土台です。
特に見落とされやすいのが動線です。お客様の動線(入口〜待合〜セット面〜シャンプーブース〜レジ)と、スタッフの動線(バックルーム〜セット面〜シャンプー〜レジ)が交差しすぎると、毎日の営業で少しずつストレスが積み上がります。1日あたり数十メートルの差が、1年では数十キロの差になります。
デザインの出発点は、装飾のトレンドではなく「誰に、どんな時間を過ごしてもらう店か」というコンセプトです。ターゲットと客単価が決まれば、素材のグレード、照明、色調、席間の距離に自然と軸が通ります。
▶詳しくはこちら:「美容室の内装デザインで失敗しないために」
内装業者はどう選べばいい?
「安さ」ではなく「美容室という業種をどれだけ知っているか」で選んでください。
美容室の内装を頼める先は、設計事務所・内装工事会社・工務店・デザイン会社と施工会社の分離発注、の4種類に大別できます。「店舗内装」を扱う会社は多くても、「美容室を何件つくってきたか」で絞ると候補を減らすことができます。
確認したいのは、美容室の施工実績、設計と施工管理を一貫して担えるか、建築士事務所の登録と建設業許可、契約前に現地調査をしてくれるか、保健所の手続きに対応できるか、そして開業後も連絡が取れるか。この6点です。
▶詳しくはこちら:「美容室の内装業者の選び方」
居抜きとスケルトン、どちらを選ぶべき?
物件ごとの設備状態で答えが変わります。一般論では決まりません。
居抜きは初期費用を抑えられ、工期も短くなります。美容室としての認知が既にある物件なら、それ自体も資産です。一方で、設備の劣化や容量不足、レイアウトの制約、前入居者のイメージが残るといった注意点があります。造作譲渡の契約条件も確認が必要です。
スケルトンはレイアウトとデザインの自由度が高く、設備を新規に計画できます。ただし工事費は高くなりやすく、工期が長い分だけ空家賃もかさみます。
どちらが得かは、契約前に設計者が現地を見なければ判断できません。「居抜きだから安い」は必ずしも成立しません。
▶詳しくはこちら:「美容師の居抜き物件で開業するメリット・デメリット」
内装工事にはどれくらい期間がかかる?
物件の規模にもよりますが、着工後3週間〜1ヶ月程度です。ただし工事前の準備のほうが長くかかります。
相談から開業までの全体は6ヶ月〜1年を見ておいてください。物件探しに数ヶ月、現地調査と融資手続き、プランニングと設計、そして工事請負契約から着工までにも2週間程度の準備期間が必要です。工事そのものは、全体から見れば最後の短い期間にすぎません。
なお、状況にもよりますが、2〜3ヶ月後のオープンをご希望のケースに対応した実績もあります。スケジュールが厳しい場合も、まずはご相談ください。
内装は何坪から、何席までつくれる?
1席のみのプライベートサロンから、スタッフ20名越えの大型サロンまで対応できます。
当社の場合、10坪未満の小規模店から50坪超まで施工実績があります。最も多いのは15〜25坪の店舗です。小規模だからといって設計が簡単になるわけではなく、むしろ限られた面積で動線を成立させる難易度は上がります。
営業を止めない改装にも対応しています。定休日のみを使った分割工事や、2期に分けた工事といった進め方が可能です。
よくある質問
Q. 内装の相談は、物件が決まっていなくてもできますか?
A. できます。むしろ物件契約の前にご相談いただくのが理想です。内覧への同行や、その物件が美容室に向いているかの判断もお手伝いします。ただし当社は物件情報を保有しているわけではないため、物件探しそのものは不動産会社と並行して進めていただく形になります。
Q. デザインだけ、施工だけの依頼はできますか?
A. 案件の状況によりますので、まずはご相談ください。設計から施工管理まで一貫してお任せいただくことで、コスト・工期・品質の管理を最適化できるのが当社の強みです。
Q. 支払いはどのタイミングですか?
A. 契約時に50%、完成引渡時に50%です。着工前に全額をお預かりすることはありません。
Q. 打ち合わせは何回くらいありますか?
A. 6〜10回程度が目安です。対面での打ち合わせを中心に、状況に応じてオンラインでも対応します。
Q. 美容室以外の内装もお願いできますか?
A. 理容室、エステサロン、ネイル・アイラッシュサロン、整体院、トリミングサロンのほか、飲食・物販店舗、クリニック、オフィスなどの実績もあります。
まとめ:内装は「開業後の毎日」から逆算する
美容室の内装で判断に迷ったら、基準は開業日ではなく開業後の毎日の営業に置いてください。見た目の良さは大切ですが、それだけでは店は回りません。動線、設備容量、保健所基準。この3つが揃って初めて、デザインが活きます。
そして最も大事なのは、相談のタイミングです。物件を契約する前に設計者を入れてください。これだけで選べる手の幅がぐんと広がります。
有限会社キックでは、コンセプトのヒアリングから物件の現地調査、資金計画のサポート、設計・施工、開業後のメンテナンスまでワンストップで対応しています。美容室の新規開業・改装をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修・運営
有限会社キック(美容室・サロン専門の設計事務所)
- 一級建築士事務所:愛知県知事登録(い-7)第14546号
- 建設業許可:愛知県知事許可(般-2)第38328号(建築工事業・内装仕上工事業)
1995年(平成7年)設立。東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の店舗デザイン・設計施工を手がける、美容業界特化の設計事務所。開業支援・繁盛支援から物件のご紹介までワンストップで対応。
監修:有限会社キック 代表取締役 小野田 聡
会社情報
- 会社名:有限会社キック
- 所在地:〒457-0011 愛知県名古屋市南区呼続元町10-65 YMプレイス2F
- 電話:052-825-0869(受付 平日9:00〜18:00)
- 対応エリア:愛知・岐阜・三重・静岡を中心に対応(全国での施工実績あり。その他エリアはご相談ください)
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