KICK

コラム

美容室開業のやることリスト|手配先別のチェックリスト【専門家監修】

2026.10.26

美容室の開業準備は、やることが多いだけでなく「誰に頼むのか」がバラバラです。設計者、不動産会社、金融機関、保健所、消防署、税務署、美容ディーラー。窓口が分かれているので、どれかが抜けても気づきにくいのが厄介なところです。

この記事は、開業までの流れを解説するものではありません。構想段階から内装工事の完了・引き渡しまでに、手配先ごとに手を動かすことを一覧にしたチェックリストです。時系列の流れを知りたい方は、先に別記事をご覧ください。

▶流れを知りたい方はこちら:「美容室開業の流れを14ステップで解説」

この記事では、東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の設計施工を手がけてきた有限会社キックが、抜けやすい項目に印をつけながら整理します。

開業準備の手配先マップ

結論:「誰に頼むか」で分けると抜けが減る

時系列で並べたリストは、進行中に自分がどこにいるか分からなくなります。 物件探しと融資と設計は並行して走るからです。

そこで、窓口ごとに分けて管理することをおすすめします。設計者に頼むこと、自分でやること、専門家に依頼すること。この3つに分けるだけで、抜けはかなり減ります。

自分で決めること・考えること

ここが決まらないと、他のすべてが進みません。

  • サロンのコンセプト(誰に、どんな時間を提供する店か)
  • ターゲット層と客単価の想定
  • 希望する席数・坪数・立地のイメージ
  • 開業希望時期
  • 自己資金の額と、調達したい金額
  • 店名
  • 一人で始めるか、スタッフを雇うか
  • 前職の退職時期と、退職の伝え方

最後の項目は意外と重要です。開業準備でつまずきやすいのは、退職にまつわる人間関係です。在職中に準備を進める方がほとんどですが、伝えるタイミングを誤ると、円満に辞められず開業時期がずれることがあります。

設計者に頼むこと

物件を契約する「前」に相談してください。

  • 物件の現地調査(給排水・電気容量・天井高・排気経路の確認)
  • 内覧への同行
  • 平面図・レイアウトの作成
  • 融資審査に必要な図面と工事見積もりの作成
  • 保健所への事前協議・図面の修正
  • 消防署への確認
  • 内装工事の設計・施工管理
  • 看板・ファサードのデザイン
  • 美容機器の選定相談

このうち、融資用の図面と見積もりは見落とされがちです。日本政策金融公庫や銀行に融資を申し込む際、平面図と工事見積もりの提出を求められます。つまり融資の前に設計者が入っている必要があるということです。キックではこの資料準備もサポートしています。

不動産会社・物件まわりでやること

  • 希望条件の整理(家賃上限・立地・坪数・階数)
  • 物件の内覧(設計者に同行してもらう)
  • 賃貸借契約の条件確認(保証金・礼金・フリーレント・原状回復の範囲)
  • 居抜きの場合は造作譲渡の契約条件の確認
  • 契約前の設備調査の実施

契約書の原状回復条項は必ず読んでください。居抜きで入った場合、退去時にスケルトンに戻す義務があるかどうかで、将来の負担が大きく変わります。

お金まわりでやること

  • 事業計画書の作成
  • 融資の申し込み(現在は公庫+民間銀行の協調融資が主流)
  • 自己資金の証明書類の準備
  • 屋号での銀行口座開設
  • クレジットカード・キャッシュレス決済の申し込み
  • 会計ソフトの導入
  • 税理士への相談

融資は申し込みから実行まで時間がかかります。物件探しと並行して早めに動き始めてください。日本政策金融公庫の創業融資だけでは必要額に届かないケースが増えており、民間銀行との協調融資を前提に組み立てるのが現実的です。

▶詳しくはこちら:「美容室開業の費用はいくら?内訳と資金調達の考え方」

内装工事が始まってからやること

ここが抜けやすいところです。工事は設計者と施工会社に任せる部分が大きいものの、オーナー様にしか決められないことが残ります。

  • 工事請負契約の締結(契約時50%・完成引渡時50%/当社の場合)
  • 着工前の近隣あいさつ(ビルの管理会社・両隣の店舗)
  • 仕上げ材・色・照明の最終決定(現物のサンプルで確認する)
  • 看板・サインのデザインと文字内容の決定
  • 美容機器・什器の搬入日の調整(工事の工程に合わせる)
  • 工事中の中間確認(造作の位置、コンセントとスイッチの高さ)
  • 電気・水道・ガスの開栓手続き(オーナー様名義での契約)
  • インターネット回線の開通工事の申し込み
  • 完了検査の立ち会いと、手直し箇所の確認
  • 引き渡し・鍵の受け取り

コンセントとスイッチの位置は、図面だけでは決めきれません。 現場で高さを目で見て確認できるタイミングが一度あります。ここを逃すと、開業後に延長コードが床を這うことになります。当社では工事中の現場確認をご案内しています。

内装工事は、物件の規模にもよりますが着工後3週間〜1ヶ月が目安です。この間に保健所の検査日も調整します。

役所・届出関係でやること

  • 保健所への事前相談(設計段階で)
  • 美容所開設届の提出と検査日の調整
  • 従業者の健康診断書の取得(有効期間に注意)
  • 美容師免許証の準備
  • 管理美容師講習の受講(美容師が常時2人以上になる場合)
  • 消防署への届出
  • 税務署への開業届
  • 青色申告承認申請書の提出(期限が厳格)
  • 従業員を雇う場合は労働保険・社会保険の手続き

管理美容師の講習は随時開催されているわけではありません。スタッフを雇う予定があるなら、早めにスケジュールを確認してください。講習が間に合わずオープンが延びる例は実際にあります。

▶詳しくはこちら:「美容室開業の届出|保健所の検査と開業届の手続きを解説」

開店に向けて用意するもの

  • 美容機器(セット面・チェア・シャンプー台)
  • 什器・備品(レジ・タオル・ワゴン・洗濯機・乾燥機)
  • 美容商材の初期仕入
  • 予約システム・顧客管理システム
  • ロゴ・ショップカード・メニュー表
  • ホームページ・SNSアカウント
  • 掲載媒体の申し込み
  • 名刺
  • 保険(火災保険・賠償責任保険)
  • 開店告知(前職のお客様への案内方法の検討)

販促ツールは後回しにされがちですが、オープン日から必要になるものです。制作にも時間がかかります。キックではロゴやショップカード、ホームページ制作のご相談も承っています。

特に抜けやすい5項目

現場で「これを忘れていた」と言われることが多いものを挙げます。

  1. 空家賃の見込み — 契約から開業までの家賃。2〜3ヶ月分は見ておく
  2. 管理美容師の講習 — 開催時期が限られる
  3. 健康診断書の有効期間 — 早く取りすぎると期限切れになる
  4. 青色申告承認申請書の期限 — 1日過ぎるとその年は使えない
  5. 原状回復の条件 — 契約時に確認しないと退去時に効いてくる

いずれも、金額や日程に直接響くものばかりです。

よくある質問

Q. 準備はいつから始めればいいですか?

A. 開業予定の6ヶ月〜1年前が目安です。物件探し、融資、設計、工事のそれぞれに時間がかかります。なお、状況にもよりますが、2〜3ヶ月後のオープンをご希望のケースに対応した実績もあります。

Q. まだ何も決まっていない段階で相談してもいいですか?

A. まったく問題ありません。「開業を考えているが何から手をつけてよいかわからない」というご相談が最も多いです。むしろ早い段階のほうが、選べる手が多く残っています。

Q. 物件探しも手伝ってもらえますか?

A. 内覧への同行や、その物件が美容室に向いているかの判断はお手伝いできます。ただし当社は物件情報を保有しているわけではないため、物件探しそのものは不動産会社と並行して進めていただく形になります。

Q. 工事が始まったら、こちらは何をすればいいですか?

A. 仕上げ材や照明の最終決定、看板の文字内容、美容機器の搬入日の調整などが残ります。現場での中間確認もお願いしています。コンセントやスイッチの高さは、図面より現場で見ていただくほうが確実です。

Q. 在職中でも相談できますか?

A. できます。多くの方が在職中に準備を進めています。打ち合わせの時間帯はご相談ください。

まとめ:窓口ごとに分けて、抜けを潰す

美容室の開業準備は、窓口が多岐にわたります。時系列だけで管理すると、並行して走る項目が抜けます。「自分で決めること」「設計者に頼むこと」「不動産」「お金」「工事中」「役所」「開店準備」の7つに分けて潰していってください。

そして、設計者への相談は物件契約の前に。図面と見積もりがなければ融資も進みません。順番を間違えないことが、結果的に一番の近道です。

有限会社キックでは、構想段階のご相談から物件の現地調査、資金計画、設計・施工、開業後のサポートまでワンストップで対応しています。美容室の開業をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修・運営

有限会社キック(美容室・サロン専門の設計事務所)

  • 一級建築士事務所:愛知県知事登録(い-7)第14546号
  • 建設業許可:愛知県知事許可(般-2)第38328号(建築工事業・内装仕上工事業)

1995年(平成7年)設立。東海エリアを中心に創業31年・約900件の美容室の店舗デザイン・設計施工を手がける、美容業界特化の設計事務所。開業支援・繁盛支援から物件のご紹介までワンストップで対応。

監修:有限会社キック 代表取締役 小野田 聡

会社情報

  • 会社名:有限会社キック
  • 所在地:〒457-0011 愛知県名古屋市南区呼続元町10-65 YMプレイス2F
  • 電話:052-825-0869(受付 平日9:00〜18:00)
  • 対応エリア:愛知・岐阜・三重・静岡を中心に対応(全国での施工実績あり。その他エリアはご相談ください)
  • 公式サイト:https://design-kick.com/
  • Instagram:@kick_salondesign

参考・出典

  • 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
  • 国税庁「開業する場合」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/42.htm
  • 新宿区「理容所・美容所の届出手続き」 https://www.city.shinjuku.lg.jp/jigyo/file03_03_00007.html
同じカテゴリのコラムはこちら
2026.1.13

ハッピーなサロンづくり

美容室は単なる「髪を切る場所」ではなく、まさにおもてなしの場です。  どれだけ技術力が優れていても、どれだけ価格が安くても、接客や雰囲気が悪ければ本当に愛されるお店にはなれません。  
2025.9.15

カラーコーディネート

空間は数多くの素材で構成され、それぞれの色の組み合わせで全く異なる印象に仕上がるものです。   ビビッドカラーはワクワク楽しいエネルギッシュなイメージ。   くすみカラーなら
2025.4.21

エントランス

初めて入る飲食店では、エントランスの雰囲気から価格帯や印象を判断することがよくあります。 高そうだと感じれば入りづらくなり、逆に特別な日には高級感を求めることもありますよね。 美容室でも
イラスト

CONTACT US

デザイン事務所・設計事務所をもっと身近に感じてもらいたいと考えています。
何も決まっていなくても相談していただいて構いません。
遠慮せずに、本当にお気軽にご相談ください。
無料相談受付中

有限会社キック

〒457−0011
名古屋市南区呼続元町10-65 
YMプレイス2F
TEL:052-825-0869
FAX:052-811-5061
有限会社キック