美容室の開業費用を抑える方法として、まず候補に挙がるのが居抜き物件の活用です。前のテナントの内装や設備を引き継げるため、内装工事費を大きく圧縮できる可能性があります。一方で、「安く開業できるはずが、かえって高くついた」という失敗が起きやすいのも居抜き物件の特徴です。
この記事では、物件のご紹介も行う有限会社キックが、創業31年・900件の美容室づくりの経験をもとに、居抜き開業のメリット・デメリットと、契約前に必ず確認すべきポイントを解説します。

有限会社キックの施工事例:being(外観・ファサード)。既存建物を活かしたサロンづくりの例
結論:居抜きは「設備の見極め」ができれば有力な選択肢
美容室の居抜き物件は、給排水や電気などの設備をそのまま活かせれば、スケルトンから作る場合に比べて内装費用を大幅に抑えられます。ただしその前提は「残された設備が本当に使えること」。設備の劣化や容量不足、レイアウトの制約を見落とすと、撤去費と改修費で想定外の出費になります。契約前に設計者による現地調査で見極めることが、居抜き開業の成否を分けます。

居抜き物件とスケルトン物件の比較
居抜き物件のメリット
1. 初期費用を大きく抑えられる
内装工事費は開業費用の中で最も大きな費用です。前テナントが美容室であれば、シャンプー台まわりの給排水、電気設備、内装仕上げの一部をそのまま活用でき、工事費を圧縮できます。浮いた資金を運転資金や販促に回せることは、開業後の経営の安定にも直結します。
2. 工期を短縮できる
工事範囲が小さいぶん、スケルトンより短い工期で開業できます。家賃が発生してから売上が立つまでの空白期間を短くできるのも、資金繰り上の大きなメリットです。
3. 立地の「実績」がわかる場合がある
前店舗が美容室だった場合、そのエリアでサロンが営業していたという事実自体が立地の参考情報になります。ただし閉店理由によっては注意が必要です(後述)。
居抜き物件のデメリット・注意点
1. 設備の劣化・容量不足
見た目はきれいでも、給排水管の劣化、給湯設備の寿命、電気容量の不足など、開業後に露見するトラブルの芽が潜んでいることがあります。設備の改修が必要になれば、居抜きのコストメリットは薄れます。
2. レイアウトの制約
既存の配管・配置を活かす前提では、セット面やシャンプーブースの位置を大きく変えられないことがあります。自分のコンセプトに合わない配置のまま妥協すると、動線の悪さが毎日の営業効率に響きます。
3. 前店舗のイメージを引き継ぐリスク
内装がほぼそのままだと、地域のお客様に「前の店と同じ」という印象を持たれることがあります。また、前店舗が集客に苦しんで閉店した立地であれば、その要因を分析せずに引き継ぐのは危険です。
4. 造作譲渡の契約条件
居抜きの設備・内装は「造作譲渡」という形で前テナントから買い取るのが一般的です。譲渡の範囲、故障時の責任、リース残債の有無など、契約条件の確認を怠るとトラブルの原因になります。
契約前のチェックポイント
- 給排水:配管の劣化状況、シャンプー台の増設・移設が可能か
- 電気:契約容量と分電盤の状態。機器の同時使用に耐えられるか
- 空調・換気:機器の年式と動作状況。交換時期が近くないか
- 給湯:給湯設備の能力と年式
- レイアウト:保健所基準を満たしたまま希望の席数が確保できるか
- 造作譲渡契約:譲渡範囲・リース残債・原状回復義務の内容
- 閉店理由:前店舗がなぜ閉めたのか(立地要因か、経営者側の事情か)
これらは一般の方が図面や内見だけで判断するのは難しい項目です。契約前に美容室の設計に詳しい専門家の現地調査を挟むことを強くおすすめします。
「使える居抜き」に出会うには
良質な居抜き物件は市場に出る前に決まってしまうことも多く、待っているだけではなかなか出会えません。
キックでは、東海エリアを中心に物件のご紹介も可能です。設計者の視点で設備の使用可否を確認した上でご案内しています。

有限会社キックの施工事例:mimi(待合スペース)
よくある質問
Q. 居抜きとスケルトン、結局どちらが良いのでしょうか?
A. 一概にどちらが良いとは言えません。初期費用と工期を優先するなら居抜き、コンセプトとレイアウトの自由度を優先するならスケルトンが基本ですが、物件ごとの設備状態によって結論は変わります。候補物件ベースでご相談いただくのが確実です。
Q. キックでは物件の紹介もしてもらえますか?
A. はい。東海エリアを中心に物件の情報をご紹介できます。物件調査には専任スタッフが同行します。
Q. 居抜きでも内装のイメージは変えられますか?
A. 可能です。設備は活かしつつ、仕上げやファサード、照明計画を変えることで印象は大きく変わります。予算配分を含めてご提案します。
まとめ:居抜きの成否は契約前に決まる
居抜き物件での美容室開業は、初期費用と工期を抑えられる有力な選択肢ですが、設備の見極めと契約条件の確認を怠ると、かえって高くつくリスクがあります。成否を分けるのは契約前の調査です。有限会社キックでは、物件のご紹介から現地調査、設計・施工までワンストップで対応しています。東海エリアで開業をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修・運営
- 有限会社キック(美容室・サロン専門の設計事務所)
- 一級建築士事務所:愛知県知事登録(い-7)第14546号
- 建設業許可:愛知県知事許可(般-2)第38328号(建築工事業・内装仕上工事業)
- 1995年(平成7年)設立。東海エリアを中心に創業31年・900件の美容室の店舗デザイン・設計施工を手がける、美容業界特化の設計事務所。開業支援・繁盛支援から物件のご紹介までワンストップで対応。
- 監修:有限会社キック 代表取締役 小野田 聡
会社情報
- 会社名:有限会社キック
- 所在地:愛知県名古屋市南区呼続元町10-65 YMプレイス2F
- TEL:052-825-0869
- 対応エリア:愛知・岐阜・三重の東海3県を中心に対応(その他エリアはご相談ください)
- 公式サイト:https://design-kick.com/
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